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導入の判断

ERPとサイボウズの違い——予定と連絡か、受注と請求か

サイボウズは予定表や掲示板を社内で共有するソフトの会社で、ERPは受注から入金までのお金を管理するシステムです。入っているものが違うので、多くの会社が両方使っています。どちらも名前しか知らない人向けに、最初から書きます。

公開 2026年9月3日更新 2026年9月15日木谷 真也(株式会社Emposy 代表取締役)読了 約12分
導入の判断 ERPとサイボウズ、 何が違うのか 予定と連絡か、受注と請求か。両方使う会社が多い理由 ERP開発通信 by 株式会社Emposy 回らなくなる3つの境目 金額が連絡 2か所記入 即答できず 読めれば足りる → 外 合わないと困る → 基幹 受注・請求・入金・原価・給与

この記事でわかること

  • サイボウズは何の会社で、ERPは何のシステムか。ERPとサイボウズの違い——予定と連絡か、受注と請求か。入っているものが重ならないので、両方使う会社が多い
  • サイボウズだけでは足りなくなった会社に出る、3つの合図。受注金額が掲示板に書かれていたら、もう越えている
  • 両方使うときに先に決める3つ。取引先の登録先・通知の宛先・金額の承認を、どちらに置くか

「ERPとサイボウズの違い」で調べると、「サイボウズ Office と Garoon の違い」のような、サイボウズの製品どうしの比較ばかり出てきます。知りたいのはそこではないはずです。この記事は、サイボウズもERPも「名前は聞いたことがある」くらいの人に向けて、何が違うのかを最初から書きます。

サイボウズは予定表と掲示板のソフトの会社で、ERPは受注から入金までを管理するシステム

まず、それぞれが何なのかからです。

サイボウズは、日本のソフトウェア会社の名前です。売っているのは主にグループウェア——社内の予定表・掲示板・ファイルの置き場・有給や備品の申請を、1つの画面でみんなで共有するソフトです。製品は4つあります。中小企業向けの「Cybozu Office」と中堅・大企業向けの「Garoon」がそのグループウェアで、「kintone」は業務アプリを自分で作る道具、「Mailwise」はチームでメールを扱う道具です。

ERPは Enterprise Resource Planning の略で、日本語では基幹システムと呼びます。受注・請求・入金・在庫・原価・給与のような、会社のお金に直結する数字を1つのシステムで管理する仕組みです。製品を買う形と、自社の業務に合わせて作る形があります。

この2つを並べると、入っているものが重なっていません。ERPと比べる相手になるのは、サイボウズの4製品のうちグループウェアの2つです。

製品入っているものERPとの関係
Cybozu Office
中小企業向け
予定と連絡
予定表、掲示板、ファイル共有、有給や備品の申請
役割が違うので、ERPと併用する。この記事で比べるのはこの2つ
Garoon
中堅・大企業向け
kintone業務アプリを自分たちで作る道具ERPと役割がぶつかる。比較は別の記事に分けました
Mailwiseチームでのメール対応この記事では扱いません
ERP(基幹システム)受注から入金までの台帳
受注、請求、入金、在庫、原価、給与
販売・購買・在庫・会計・人事を1つのシステムで扱う

だから「サイボウズを入れたからERPは要らない」も、「ERPを入れたからサイボウズは要らない」も成り立ちません。予定や連絡の共有に困っているならサイボウズ、月末に金額が合わないことに困っているならERPです。実際に、多くの中小企業が両方使っています。

※ 各製品の詳しい仕様はサイボウズ公式を参照してください。

サイボウズの書き間違いは直せるが、ERPの受注金額がズレると決算が止まる

サイボウズとERPの違いは、機能の多さではありません。中に入っているデータが間違っていたとき、何が起きるかが違います。サイボウズの掲示板に書いた予定が1つ間違っていても、直せば済みます。ERPに入れた受注の金額が1円ズレると、請求書も決算も合わなくなります。

サイボウズ Office / Garoon
ERP
扱うもの
情報——予定、連絡、ファイル、掲示、申請
取引——受注、請求、入金、在庫、原価
正しさの基準
読めればよい。多少の重複は問題にならない
1円でも合わないと問題になる。同じ受注が2件あってはいけない
消えると困ること
やり取りの経緯が分からなくなる
お金が合わなくなる。決算が締まらない
集計
基本的にしない(探せればよい)
集計が目的。案件別・月別・事業別に積み上げる
外部との接続
メール、カレンダー
会計ソフト、銀行、取引先、税務

あるデータをサイボウズに置くかERPに置くか迷ったら、こう考えます。そのデータが間違っていたとき、直せば済むのか、それとも請求や決算が止まるのか。止まるならERPに置きます。

合わないと決算や請求で困る→ 取引データ。ERPの領域。「案件の金額」はこちら
そのデータは
どっち?
読めれば足りる→ 情報。グループウェアの領域。予定表と掲示板はこちら

サイボウズだけでは足りなくなった会社に出る、3つの合図

サイボウズと会計ソフトだけで、ある規模までの会社は回ります。回らなくなった会社には、次の3つの合図が出ます。

  1. 金額が「連絡」の中にあるとき「◯◯社の案件、300万で受注しました」が掲示板やチャットに書かれ、正式な記録がない状態。件数が少ないうちは回るが、月末に集計しようとすると人が読み返すことになる
  2. 同じ数字を2か所に書き始めたときグループウェアの報告と、会計ソフトの請求と、Excelの一覧。3か所に同じ金額を書いていたら、すでに境目を越えている。同じ受注を3か所に書いていた会社が入力1回になるまでは、Trelloから移した60日の記事に書きました
  3. 「今月いくら?」に即答できないときグループウェアは探すための道具で、積み上げるための道具ではない。集計が必要になった時点で、取引データの置き場が要る

逆に、案件の数が少なく、金額の管理が会計ソフトだけで足りているなら、グループウェア+会計ソフトで十分です。無理にERPを入れる必要はありません。

Emposyは連絡と議事録を外のサービスに残し、受注と給与だけERPに移した

私たち株式会社Emposyは2026年7月から自社のERPを使っています。サイボウズは使っていませんが、同じ役割のツール(チャット・クラウドストレージ)は残しました。実際の線引きがこれです。

外に残した(読めれば足りる)

  • 連絡・通知 → チャット ERPから通知を送る側に回した
  • 議事録・資料 → クラウドストレージ 置き場所は変えず、ERPが読みに行く(124本)
  • 会計の仕訳・申告 → 会計ソフト 制度への追随を自前でやる理由がない

ERPに置いた(合わないと困る)

  • 受注・請求・入金 案件181件・明細178行
  • 原価・予実 実績1,621行を事業別に集計
  • 日報・勤怠・給与 時間から原価と給与が出る。取引データに繋がる

ERPに置いたのは全部「合わないと困るデータ」、外に残したのは全部「読めれば足りるデータ」です。この線で切ると、作る範囲が小さくなります。線引きの結果を3つだけ実数で。

ERPからチャットへ出した通知3,028件要対応1,553/完了1,446/緊急24
ERPが読みに行く議事録124本置き場所はクラウドストレージのまま
認証情報を預けている外部サービス75件メール16・外部連携13・会計6・採用6

※ 2026年9月11日時点。人数に関する数字は出していません。

通知を「ERPからチャットへ」の1方向にしたので、要対応(何かをしてほしい)と完了報告を分けて数えられるようになりました。連絡と依頼が混ざっていた頃には、この数字は出せませんでした。外部サービス75件の内訳を見ると、「情報」を扱うサービスの方が「取引」を扱うサービスよりずっと多い。だからこそ、全部を1つにまとめようとせず、取引だけをERPに絞る線引きが効きます。

リード一覧画面。資料請求・メール返信・広告の経路ごとに、未対応の件数と一覧が並ぶ
問い合わせの一覧。資料請求・メール返信・広告からの反応は「情報」ですが、ここから案件(取引)が生まれるので、入口だけをERPに置きました。社名・件名・メールはぼかしています。

サイボウズと組み合わせる相手は、会計ソフト・ERP・kintoneの3通り

サイボウズ(グループウェア)を使っている会社が、お金の数字をどこに置くかは3通りです。自社がどれに近いかで、次に入れるものが決まります。

パターン中身向いている会社
グループウェア+会計ソフト連絡と予定はグループウェア、金額は会計ソフト案件数が少なく、集計の要求が弱い
グループウェア+ERP(私たちはこの形)情報はグループウェア、取引はERP。通知はERPから出す多くの中小企業
グループウェア+kintone情報はグループウェア、業務アプリはkintoneで自作作れる人が社内にいて、1業務で完結する仕事が中心

サイボウズとERPの両方を使う前に、取引先の登録先・通知の宛先・金額の承認を決める

「グループウェア+ERP」の形で併用するなら、始める前に3つ決めてください。決めずに始めると、同じものを2か所で管理することになります。

  1. マスタ(取引先・商品)の正をどちらに置くかグループウェア側にも取引先の一覧を作れてしまう。両方で登録できる状態にすると、名前の表記が割れて集計が合わなくなる。正は基幹側に置き、グループウェアからは参照するだけにする
  2. 通知の窓口を1つにするかグループウェアの通知、ERPの通知、チャットの通知。窓口が増えると誰も見なくなる。うちはERPからチャットに送る形に統一した
  3. 承認をどちらに置くかワークフロー(申請・承認)はどちらでもできてしまう。金額が絡む承認は基幹側(発注・請求・値引き)、金額が絡まない承認はグループウェア側(有給、備品、稟議の回覧)。金額の承認を情報側に置くと、承認した金額と請求した金額が別々に管理される

この記事を書いた会社の仕事

いま使っているツールを「情報」と「取引」に仕分けるところから始めます

グループウェアと会計ソフトで足りている会社には、そうお伝えします。取引データが連絡の中に埋もれていて、月末に人が読み返している場合は、その部分だけをERPに寄せる形を一緒に設計します。全部を作り替える提案はしません。60分の無料相談で、いま使っているツールと、いちばん手間のかかっている作業を教えてください。しつこい営業はしません。

よくある質問

サイボウズとERP、どちらを先に入れるべきですか?

連絡や予定の共有に困っているならグループウェアが先です。金額が合わない・月末の集計に時間がかかるならERPが先です。困っている場所がどちらかで決まります。両方を同時に入れると、決めることが増えて止まりやすくなります。

Garoonのワークフローがあれば、ERPの承認は要りませんか?

金額が絡まない承認(有給、備品)はGaroon側で足ります。発注や請求のように金額が動く承認は、基幹側に置いてください。承認した金額と請求した金額が別々に管理されると、突き合わせが発生します。

サイボウズを使いながらERPを入れられますか?

できます。多くの中小企業がこの形です。先に決めるのは3つで、取引先マスタの正をどちらに置くか、通知の窓口をどこにするか、承認をどちらに置くか。決めずに併用すると、二重管理が始まります。

kintoneとERPの違いはこの記事と同じですか?

違います。kintoneは「業務アプリを作る道具」なので、ERPと役割が重なります。判定の仕方はERPとkintoneの違いの記事に、4つの判定と実例で書いています。

まとめ

サイボウズとERPは、入っているものが違うサイボウズ(Office・Garoon)には予定と連絡が入り、ERPには受注と請求が入る。重ならないので、両方使う会社が多い
合わないと困る数字は、ERPへ受注・請求・入金・原価・給与。1円でも合わないと決算が締まらないデータは、連絡ツールの中に置かない
サイボウズだけで足りなくなる合図は3つ受注金額が掲示板に書かれている。同じ金額を2か所に書いている。「今月いくら?」に即答できない
両方使うなら、先に3つ決める取引先マスタをどちらで登録するか。通知をどこに集めるか。金額が動く承認をどちらに置くか
kintoneだけは別の話同じサイボウズの製品でも、kintoneは業務アプリを作る道具。ERPと役割がぶつかるのはこれだけ

出典:当社のERPの本番データベース(2026年9月11日時点。案件181件・請求明細178行・実績1,621行・議事録124本・通知3,028件・外部サービス75件)。サイボウズ各製品の仕様はサイボウズの公式情報を参照してください。取引先名・個人名・人数は伏せています。

この記事を
書いた人

木谷 真也(株式会社Emposy 代表取締役)

自社の基幹システムの要件定義書を自分で書き、毎日使っている。営業・経理・案件管理・日報・AI相談までを自社開発の基幹システム1つに集約して会社を回し、その経験をもとに中堅・中小企業の自社専用ERP開発を請けている。東京・大阪。サービスについて

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