この記事でわかること
- サイボウズは何の会社で、ERPは何のシステムか。ERPとサイボウズの違い——予定と連絡か、受注と請求か。入っているものが重ならないので、両方使う会社が多い
- サイボウズだけでは足りなくなった会社に出る、3つの合図。受注金額が掲示板に書かれていたら、もう越えている
- 両方使うときに先に決める3つ。取引先の登録先・通知の宛先・金額の承認を、どちらに置くか
「ERPとサイボウズの違い」で調べると、「サイボウズ Office と Garoon の違い」のような、サイボウズの製品どうしの比較ばかり出てきます。知りたいのはそこではないはずです。この記事は、サイボウズもERPも「名前は聞いたことがある」くらいの人に向けて、何が違うのかを最初から書きます。
サイボウズは予定表と掲示板のソフトの会社で、ERPは受注から入金までを管理するシステム
まず、それぞれが何なのかからです。
サイボウズは、日本のソフトウェア会社の名前です。売っているのは主にグループウェア——社内の予定表・掲示板・ファイルの置き場・有給や備品の申請を、1つの画面でみんなで共有するソフトです。製品は4つあります。中小企業向けの「Cybozu Office」と中堅・大企業向けの「Garoon」がそのグループウェアで、「kintone」は業務アプリを自分で作る道具、「Mailwise」はチームでメールを扱う道具です。
ERPは Enterprise Resource Planning の略で、日本語では基幹システムと呼びます。受注・請求・入金・在庫・原価・給与のような、会社のお金に直結する数字を1つのシステムで管理する仕組みです。製品を買う形と、自社の業務に合わせて作る形があります。
この2つを並べると、入っているものが重なっていません。ERPと比べる相手になるのは、サイボウズの4製品のうちグループウェアの2つです。
| 製品 | 入っているもの | ERPとの関係 |
|---|---|---|
| Cybozu Office 中小企業向け | 予定と連絡 予定表、掲示板、ファイル共有、有給や備品の申請 | 役割が違うので、ERPと併用する。この記事で比べるのはこの2つ |
| Garoon 中堅・大企業向け | ||
| kintone | 業務アプリを自分たちで作る道具 | ERPと役割がぶつかる。比較は別の記事に分けました |
| Mailwise | チームでのメール対応 | この記事では扱いません |
| ERP(基幹システム) | 受注から入金までの台帳 受注、請求、入金、在庫、原価、給与 | 販売・購買・在庫・会計・人事を1つのシステムで扱う |
だから「サイボウズを入れたからERPは要らない」も、「ERPを入れたからサイボウズは要らない」も成り立ちません。予定や連絡の共有に困っているならサイボウズ、月末に金額が合わないことに困っているならERPです。実際に、多くの中小企業が両方使っています。
※ 各製品の詳しい仕様はサイボウズ公式を参照してください。
サイボウズの書き間違いは直せるが、ERPの受注金額がズレると決算が止まる
サイボウズとERPの違いは、機能の多さではありません。中に入っているデータが間違っていたとき、何が起きるかが違います。サイボウズの掲示板に書いた予定が1つ間違っていても、直せば済みます。ERPに入れた受注の金額が1円ズレると、請求書も決算も合わなくなります。
あるデータをサイボウズに置くかERPに置くか迷ったら、こう考えます。そのデータが間違っていたとき、直せば済むのか、それとも請求や決算が止まるのか。止まるならERPに置きます。
どっち?
サイボウズだけでは足りなくなった会社に出る、3つの合図
サイボウズと会計ソフトだけで、ある規模までの会社は回ります。回らなくなった会社には、次の3つの合図が出ます。
- 金額が「連絡」の中にあるとき「◯◯社の案件、300万で受注しました」が掲示板やチャットに書かれ、正式な記録がない状態。件数が少ないうちは回るが、月末に集計しようとすると人が読み返すことになる
- 同じ数字を2か所に書き始めたときグループウェアの報告と、会計ソフトの請求と、Excelの一覧。3か所に同じ金額を書いていたら、すでに境目を越えている。同じ受注を3か所に書いていた会社が入力1回になるまでは、Trelloから移した60日の記事に書きました
- 「今月いくら?」に即答できないときグループウェアは探すための道具で、積み上げるための道具ではない。集計が必要になった時点で、取引データの置き場が要る
逆に、案件の数が少なく、金額の管理が会計ソフトだけで足りているなら、グループウェア+会計ソフトで十分です。無理にERPを入れる必要はありません。
Emposyは連絡と議事録を外のサービスに残し、受注と給与だけERPに移した
私たち株式会社Emposyは2026年7月から自社のERPを使っています。サイボウズは使っていませんが、同じ役割のツール(チャット・クラウドストレージ)は残しました。実際の線引きがこれです。
外に残した(読めれば足りる)
- 連絡・通知 → チャット ERPから通知を送る側に回した
- 議事録・資料 → クラウドストレージ 置き場所は変えず、ERPが読みに行く(124本)
- 会計の仕訳・申告 → 会計ソフト 制度への追随を自前でやる理由がない
ERPに置いた(合わないと困る)
- 受注・請求・入金 案件181件・明細178行
- 原価・予実 実績1,621行を事業別に集計
- 日報・勤怠・給与 時間から原価と給与が出る。取引データに繋がる
ERPに置いたのは全部「合わないと困るデータ」、外に残したのは全部「読めれば足りるデータ」です。この線で切ると、作る範囲が小さくなります。線引きの結果を3つだけ実数で。
※ 2026年9月11日時点。人数に関する数字は出していません。
通知を「ERPからチャットへ」の1方向にしたので、要対応(何かをしてほしい)と完了報告を分けて数えられるようになりました。連絡と依頼が混ざっていた頃には、この数字は出せませんでした。外部サービス75件の内訳を見ると、「情報」を扱うサービスの方が「取引」を扱うサービスよりずっと多い。だからこそ、全部を1つにまとめようとせず、取引だけをERPに絞る線引きが効きます。
サイボウズと組み合わせる相手は、会計ソフト・ERP・kintoneの3通り
サイボウズ(グループウェア)を使っている会社が、お金の数字をどこに置くかは3通りです。自社がどれに近いかで、次に入れるものが決まります。
| パターン | 中身 | 向いている会社 |
|---|---|---|
| グループウェア+会計ソフト | 連絡と予定はグループウェア、金額は会計ソフト | 案件数が少なく、集計の要求が弱い |
| グループウェア+ERP(私たちはこの形) | 情報はグループウェア、取引はERP。通知はERPから出す | 多くの中小企業 |
| グループウェア+kintone | 情報はグループウェア、業務アプリはkintoneで自作 | 作れる人が社内にいて、1業務で完結する仕事が中心 |
サイボウズとERPの両方を使う前に、取引先の登録先・通知の宛先・金額の承認を決める
「グループウェア+ERP」の形で併用するなら、始める前に3つ決めてください。決めずに始めると、同じものを2か所で管理することになります。
- マスタ(取引先・商品)の正をどちらに置くかグループウェア側にも取引先の一覧を作れてしまう。両方で登録できる状態にすると、名前の表記が割れて集計が合わなくなる。正は基幹側に置き、グループウェアからは参照するだけにする
- 通知の窓口を1つにするかグループウェアの通知、ERPの通知、チャットの通知。窓口が増えると誰も見なくなる。うちはERPからチャットに送る形に統一した
- 承認をどちらに置くかワークフロー(申請・承認)はどちらでもできてしまう。金額が絡む承認は基幹側(発注・請求・値引き)、金額が絡まない承認はグループウェア側(有給、備品、稟議の回覧)。金額の承認を情報側に置くと、承認した金額と請求した金額が別々に管理される
この記事を書いた会社の仕事
いま使っているツールを「情報」と「取引」に仕分けるところから始めます
グループウェアと会計ソフトで足りている会社には、そうお伝えします。取引データが連絡の中に埋もれていて、月末に人が読み返している場合は、その部分だけをERPに寄せる形を一緒に設計します。全部を作り替える提案はしません。60分の無料相談で、いま使っているツールと、いちばん手間のかかっている作業を教えてください。しつこい営業はしません。
よくある質問
サイボウズとERP、どちらを先に入れるべきですか?
連絡や予定の共有に困っているならグループウェアが先です。金額が合わない・月末の集計に時間がかかるならERPが先です。困っている場所がどちらかで決まります。両方を同時に入れると、決めることが増えて止まりやすくなります。
Garoonのワークフローがあれば、ERPの承認は要りませんか?
金額が絡まない承認(有給、備品)はGaroon側で足ります。発注や請求のように金額が動く承認は、基幹側に置いてください。承認した金額と請求した金額が別々に管理されると、突き合わせが発生します。
サイボウズを使いながらERPを入れられますか?
できます。多くの中小企業がこの形です。先に決めるのは3つで、取引先マスタの正をどちらに置くか、通知の窓口をどこにするか、承認をどちらに置くか。決めずに併用すると、二重管理が始まります。
kintoneとERPの違いはこの記事と同じですか?
違います。kintoneは「業務アプリを作る道具」なので、ERPと役割が重なります。判定の仕方はERPとkintoneの違いの記事に、4つの判定と実例で書いています。
まとめ
出典:当社のERPの本番データベース(2026年9月11日時点。案件181件・請求明細178行・実績1,621行・議事録124本・通知3,028件・外部サービス75件)。サイボウズ各製品の仕様はサイボウズの公式情報を参照してください。取引先名・個人名・人数は伏せています。