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費用

ERPの見積書の見方
——「別途」と「仕様変更の追加費用」で総額が変わる。費用の内訳と相場

公開 2026年8月31日更新 2026年9月15日株式会社Emposy 編集部読了 約20分
費用 ERPの見積書の見方、 費用の内訳と相場 「別途」「仕様変更」が総額を決める ERP開発通信 by 株式会社Emposy 見 積 書 ライセンス 一式 初期導入・設定 一式 カスタマイズ 一式 データ移行 別途 既存SaaS連携 要相談 保守(年額) 別途 合計金額を見るのは、最後。 「別途」が総額を決める

この記事でわかること

  • 結局いくらかかるのか——規模と入れ方ごとの金額の目安を、最初に出します
  • その金額が何でできているか(7つの項目)と、見積書に載りにくいもの
  • 「初期費用が安い」の落とし穴。月額×5年で見ると、利用者何名で総額が逆転するか(試算図付き)
  • 見積書を行ごとに何を確認するかの一覧表と、見積が2倍ブレる要因
  • 補助金(旧IT導入補助金)の要点と注意点、規模別の想定ケース3つ

「ERPの見積りを3社から取ったら、500万円から1,800万円までバラバラだった。どれが正しいのか分からない」——ERP導入を検討している経営者から、私たちがよく聞く言葉です。

金額がバラバラなのは、どこかの会社が不当に高いからとは限りません。多くの場合、見積書に「何が含まれていて、何が含まれていないか」が違うだけです。この記事では、ERP導入費用が何でできているか、相場はいくらか、見積書をどう読めば総額を正しく比べられるかを整理します。書いているのは、自社専用の基幹システムを開発している会社です。パッケージやクラウドERPの方が安く済む会社があることも率直に書きます。

ERPの導入費用は、入れ方しだいで月5,000円から数千万円まで開く

細かい話の前に、いちばん知りたいところから書きます。下が、公開されている相場を規模と入れ方ごとにまとめたものです。自社がどの行に近いかを先に見てください。

どんな入れ方か金額の目安補足
まず1業務だけ、クラウドで
(会計や勤怠など)
月額 5,000〜2万円 /1人
初期費用は数十万円
人数が増えるほど月額が伸びる。20〜30名くらいまでは、いちばん安く始まる
複数の業務をまとめて、クラウドで初期 300万〜1,500万円
+月額
設定とデータ移行に人手がかかる。金額の大半は製品代ではなく作業代
パッケージで複数領域を統合1,500万〜4,000万円中堅規模の全社導入。カスタマイズの量で大きく動く
業務に合わせて作る(自社専用開発)800万〜数千万円月額のライセンス費がない。5年の総額で比べると逆転することがある

※ 公開されている各社の相場情報をまとめたものです(出典は記事末尾)。実際の見積りは業務の複雑さで大きく変わるので、ここは「桁を掴む」ための数字として見てください。

ここから先は、この金額が何でできているのか、そしてなぜ同じ要望なのに3社の見積りが3倍も違うのかを順番に書きます。

見積書の金額は、7つの項目でできている

ERP(統合基幹業務システム)の導入費用は、製品の値段だけではありません。各社の整理(クラウドERP実践ポータルマネーフォワード クラウドERP日本ソフトウエア)を見ると、費用はおおむね次の7つに分かれます。

項目中身発生のしかた
1. ライセンス/利用料製品を使う権利。クラウド型は「基本料+ユーザー数×単価」の月額、パッケージ型は買い切りが多いクラウド型は毎月、パッケージ型は初回に一括
2. 初期導入(要件定義・設定)業務の棚卸し、要件の文書化、マスタや権限の初期設定。「導入コンサルティング費」とも書かれる初回。要件定義を誰がやるかで金額が変わる
3. カスタマイズ・追加開発標準機能で足りない部分の作り込み。帳票の追加、独自の承認フローや原価計算など初回。パッケージでは保守費も押し上げる
4. データ移行旧システムやExcelから顧客・商品・取引データを移す作業。データの整形を含む初回。「過去何年分か」で工数が変わる
5. 既存システムとの連携残す会計ソフトやSFA、ECとのAPI連携。連携ツールの月額が別に発生することも初回+連携ツールの月額
6. 教育・マニュアル操作説明会、マニュアル作成、稼働直後の問い合わせ対応初回。人の入れ替わりで再発生
7. 保守・運用不具合対応、問い合わせ窓口、法改正対応、サーバー費用毎年。オンプレミス型は初期費用の年15〜20%が目安(日本ソフトウエア)

押さえるべきなのは、見積書に必ず載るのは1〜3で、4〜7は載っていないことがあるという点です。クラウドERP実践ポータルは「業務範囲やカスタマイズの度合いによっては、導入費用がライセンス費用を上回ることがある」と指摘しています。製品の値段が安くても、2〜6を足すと総額は別物になります。

ERP導入費用の内訳——見積書に載る項目と、載りにくい項目 初期費用(一度きり) ライセンス 要件定義・設定 カスタマイズ データ移行 既存SaaS連携 教育・研修 継続費用(毎月・毎年) 月額利用料(クラウド) 保守・サポート インフラ・運用 バージョンアップ対応 見積書に載りにくい費用(社内で発生する) 社内担当者の時間 並行稼働の二重費用 帳票の追加・修正 稼働直後の生産性低下 上段・中段は各社の整理(クラウドERP実践ポータル、マネーフォワード クラウドERP ほか)をもとに構成。 下段は NetSuite の TCO(総所有コスト)の整理と、当社の経験から。
図1 費用の全体像。見積書は上段・中段の一部しか映していないことが多い。

クラウドかパッケージか、何人で使うかで相場が変わる

公開されている相場を、導入の形態(クラウドERP/パッケージ・オンプレミス/スクラッチ開発)と規模で整理しました。情報源ごとに前提が違うので、幅を持って見てください。

クラウド型・利用料1ユーザー月額5,000〜2万円出典:日本ソフトウエア
パッケージ・複数領域の統合1,500万〜4,000万円出典:ripla
従業員50〜300名・クラウド型の5年総額1,600万〜8,000万円出典:MCB FinTechカタログ
形態区分目安出典
クラウドERP利用料(ユーザー課金)1ユーザー当たり月額5,000〜20,000円日本ソフトウエア
ライセンス基本ライセンス(事業所ごと)数万〜100万円程度、ユーザーライセンス(1人当たり)数千〜数万円程度マネーフォワード クラウドERP
初期費用(規模別)小規模 数十万〜数百万円/中小 数百万〜1,000万円程度/中堅 1,000万〜数千万円NetSuiteの教科書
月額(規模別)小規模 数万〜数十万円/中小 数十万〜100万円超/中堅 100万円超〜数百万円
年間費用(導入範囲別)部門導入 年間数十万〜500万円/全社導入 年間500万〜数千万円クラウドERP実践ポータル
パッケージ
(オンプレミス)
部分刷新(販売・在庫・会計など)初期費用 300万〜1,500万円程度ripla
複数領域の統合(販売・購買・在庫・会計・人事)初期費用 1,500万〜4,000万円程度
初期費用(規模別)中小企業 500万〜2,000万円/大企業 5,000万〜1億円以上日本ソフトウエア
スクラッチ開発ERPをスクラッチで開発800万〜数千万円以上。開発会社の人月単価は50万〜150万円程度ripla
規模別小規模システム 200万〜500万円程度/基幹システムを一新する大規模開発 2,000万〜3,000万円程度発注ラウンジ
5年総額従業員規模別(クラウド型)〜50名 150万〜1,000万円/50〜300名 1,600万〜8,000万円(オンプレミス型は1,500万〜7,000万円)/300名〜 数千万〜数億円MCB FinTechカタログ
30名規模の製造業クラウド 典型値 約800万〜1,500万円/オンプレミス 約1,200万〜2,000万円ERPNextナレッジ

※ いずれも各社が公開している目安で、2026年9月時点の情報です。実際の金額は対象業務の範囲、利用者数、連携、データ移行量で大きく変わります。

「会計ソフトの月額」と「ERPの月額」は桁が違う

相場を調べると、月額数千円の数字も目に入ります。マネーフォワード クラウドは法人向けで月額2,480円(ひとり法人プラン・年払い)から、freee会計はスタータープランが月額5,480円、勘定奉行クラウドは月額7,750円からです。ただしこれらは会計単体のSaaSの価格です。販売・在庫・原価まで束ねるクラウドERPは公開価格がない製品が多く、NetSuiteの教科書はNetSuiteを「ミニマム構成で月額20万円〜」としています。「クラウドだから月数千円」の感覚で予算を組むと、見積りを見た瞬間に止まります。

初期費用が安いクラウドは、5年の総額で逆転することがある

クラウドERPの強みは初期費用の小ささです。マネーフォワード クラウドERPの整理では、クラウド型の初期導入費は「0円から10数万円程度」、パッケージ型のライセンスは「数百万円〜数千万円」の一括払いです。初期費用だけを並べれば、クラウドが圧倒的に安く見えます。

ただし、クラウドの費用は毎月続きます。比べるべきは初期費用ではなく、5年分の総額です。ripla も「3〜5年のTCO(総保有コスト)で比較」することを勧めています。利用者50名の会社で試算してみます。

試算例:利用者50名で5年間使った場合の総額 クラウドERP 月額 50万円 × 60ヶ月 = 3,000万円 3,300万円 パッケージ (買い切り) 初期 1,500万円 保守 225万円 × 5年 2,625万円 自社専用開発 初期 1,500万円 保守 750万円 2,250万円 初期費用(一度きり) 継続費用(5年分) 前提:クラウドは初期300万円+1ユーザー月額1万円(目安5,000〜2万円の中間、日本ソフトウエア)。 固定費型は初期1,500万円(複数領域統合の下限、ripla)。保守は初期費用の年15%(パッケージ、日本ソフトウエア)と 年10%(自社開発、ripla の5〜20%の中間)で置いた。金額はすべて例示。
図2 初期費用が最も安いクラウドERPが、5年総額では最も高くなる試算例。利用者数と単価次第で逆転する。

この試算はクラウドに不利な前提(利用者50名、1ユーザー月額1万円)です。利用者が10名なら、クラウドの5年総額は300万+600万=900万円で、固定費型より圧倒的に安い。つまりクラウドが安いか高いかは、利用者数で決まります

試算例:利用者数が増えると、クラウドERPの5年総額はどう伸びるか 0 2,000万 4,000万 6,000万 0名 25名 50名 75名 100名 固定費型 2,250〜2,625万円 クラウド 1ユーザー月額1万円 同 5,000円 約33名で逆転 約65名で逆転 前提は図2と同じ。ユーザー課金は一律単価で単純化し、ボリューム割引・値上げ・利用者の増減は考慮していない。 縦軸は5年総額(初期費用+継続費用)。
図3 クラウドERPの総額は利用者数に比例して伸びる。逆転点を自社の人数に当てはめて読む。

ユーザー数課金で見落とされる3点

  • 「ユーザー」の定義——登録アカウント数か、同時ログイン数か。閲覧だけの人も課金されるか。会計SaaSでも、freee会計は追加メンバーがスターター・スタンダードで1人300円/月、アドバンスで1人1,000円/月と、プランで単価が変わります(freee
  • 人数は増える方向にしか動きにくい——ERPは使う部門が広がるほど価値が出る仕組みです。2年後にユーザーが1.5倍になっていることは珍しくありません
  • 値上げ条項——提供側は価格を改定できます。通知期間と既存契約への適用条件を契約書で確認してください

クラウドが向いている会社、向いていない会社

利用者が少なく(目安20〜30名以下)、業務が標準的で、システム担当者を置けない会社は、クラウドERPが総額でも最も安く済むことが多いです。一方、利用者が多い、独自の業務ロジックが多い、帳票が多い会社は、月額と追加開発の両方が膨らみ、固定費型が5年総額で下回りやすくなります。「クラウドか固定費型か」は、人数と独自性の掛け算で決まると考えてください。

見積書は「別途」「要相談」と書かれた行から読む

見積書が届いたら、合計金額の前に、各行を次の観点で読んでください。金額の大小より、「何が入っていて、何が入っていないか」が、あとから効いてきます。

見積書の行確認すること抜けていたときに起きること
要件定義・業務整理誰の工数か(自社か、ベンダーか、別のコンサルか)。ヒアリングは何回で、成果物は何か別途コンサル費が要る。または要件が曖昧なまま始まり、後で「仕様変更」として請求される
ライセンス・利用料ユーザー数の定義と単価。増減の扱い、契約期間、値上げ時のルール、含まれるモジュール利用部門が広がった時点で月額が想定を超える
カスタマイズ・追加開発「一式」ではなく機能ごとの内訳があるか。未確定の項目をどう扱うか(概算か、上限付きか、別途か)確定後に膨らむ。クラウドERP実践ポータルは「カスタマイズ費用が当初見積もりの3倍」のケースが珍しくないとする
データ移行対象データと期間(過去何年分)。データの整形は誰がやるか。移行のリハーサルは何回か未記載なら別料金と考える。稼働直前に数ヶ月止まる典型パターン
既存SaaSとの連携残す会計ソフト・SFA・ECとの連携が「連携可能」か「連携込み」か。連携ツールの月額は別かCSVの手動取り込みが残り、二重入力が消えない
帳票・レポート枚数。既存帳票の再現か、標準帳票への置き換えか。1枚ごとの単価1枚ごとに設計と検証が要る。10枚あれば数十万〜百万円単位で増える
保守・運用月額の範囲——問い合わせ対応だけか、軽微な修正や法改正対応を含むか「軽微な修正」が全て別見積りになり、保守費が倍になる
仕様変更の扱い途中で出た要望をどう扱うか。無償の範囲、有償になる基準、単価要望が全て追加請求になるか、何も反映されずに納品される
前提条件・除外事項「別途」「要相談」「貴社作業」の項目を全部書き出すそのまま追加費用の候補になる(ripla)

手順にすると、次の5ステップです。

1 2 3 4 5 範囲を揃える業務・部門・人数 含まれない項目を洗い出す 継続費を5年分に伸ばす 変更・保守の扱いを文章で 同じ範囲で 相見積もり 合計金額を見るのは最後。先に「範囲」と「含まれないもの」を揃えないと、金額は比べられない。
図4 見積書を読む順番。1〜4を済ませてから、初めて2社の合計金額を並べる。

同じ要望を出しても、見積が2倍以上ブレる理由

冒頭の「500万円から1,800万円」のような差は、珍しいことではありません。差の正体は、多くの場合、次の5つです。

  1. 範囲の読み違い「販売管理一式」を、A社は受注〜請求、B社は見積〜入金消込〜売掛管理と読んでいる。範囲が違えば金額は倍になる
  2. データ移行の有無と深さ移行を「別途」にした見積りと、過去5年分の取引データの整形まで含めた見積りでは数百万円違う。ERPNextナレッジは30名規模で「データ移行 50万〜300万円」を目安にしている
  3. カスタマイズ前提かどうか標準機能に業務を合わせる前提の見積りは安く出るが、後から「やはり必要」となった分は追加開発になる
  4. 連携と帳票の数え方連携先3つ、帳票15枚と数を出した見積りより、「連携可能」「帳票対応」とだけ書いた見積りの方が必ず安く見える
  5. 要件の確定度未確定の項目をリスクとして上乗せする会社は高く、決まった分だけ見積もる会社は後で膨らむ

この構造は統計でも裏付けられます。日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)の企業IT動向調査2026(2025年度調査)によると、システム開発の予算が「予定より超過」した割合は、10人月未満のプロジェクトで6.0%、100〜500人月未満で36.2%、500人月以上で42.2%です。超過した理由の上位は「想定以上の現行業務・システムの複雑さ」51.4%、「計画時の考慮不足」51.0%、「仕様変更の多発」48.6%でした(回答は大企業中心ですが、要因の構造は中小企業でも同じです)。

裏を返せば、見積りのブレは「現行業務の複雑さを、見積り前にどこまで言語化できたか」でほぼ決まるということです。業務を説明できる人が打ち合わせに出て、帳票を全部並べ、残すSaaSと捨てるExcelを決めてから見積りを取る。これだけで2倍の差は数割まで縮まります。

補助金を使っても、ERPの費用がそのまま半分になるわけではない

費用相談で必ず出るのが補助金です。2026年度、これまでの「IT導入補助金」は「デジタル化・AI導入補助金2026」に名称が変わりました。事務局の公開情報から要点だけを抜き出します。

項目内容(2026年9月時点・事務局サイトより)
通常枠の補助額1プロセス以上:5万円以上150万円未満/4プロセス以上:150万円以上450万円以下(通常枠
通常枠の補助率1/2以内。一定の条件(最低賃金未満で雇用している従業員が全従業員の30%以上、など)を満たす場合は2/3以内
通常枠の対象経費ソフトウェア購入費、クラウド利用料(最大2年分)、オプション(機能拡張・データ連携ツール等)、役務(導入コンサルティング・設定・研修・保守サポート)
インボイス枠(対応類型)会計・受発注・決済ソフトが対象。補助額50万円以下の部分は3/4以内(小規模事業者は4/5以内)、50万円超〜350万円は2/3以内(インボイス枠
締切通常枠・インボイス枠等の1〜5次締切分は2026年9月29日17:00、交付決定は11月9日(予定)。6次以降は未定(スケジュール

注意点——ERPの費用がそのまま半分になるわけではない

  • 登録されたITツールしか対象にならない——事務局に登録された「ITツール」を、登録された「IT導入支援事業者」経由で導入する制度です(制度概要)。自社専用のスクラッチ開発は、この枠には原則乗りません
  • クラウド利用料は最大2年分——3年目以降の月額は自己負担です。5年総額で見ると、補助で下がるのは一部です
  • 交付決定前の契約は対象外——ripla も「交付決定前の契約禁止など複数の条件」を挙げています。スケジュールが締切に縛られます
  • 採択される保証はない——審査があり、年度・公募回ごとに要件と補助率が変わります。相談時点の公募要領で確認してください

補助金は「使えたら助かる」ものであって、導入の是非や製品の選定を補助金に合わせて決めるものではない、というのが私たちの考えです。補助金のために不要な登録ツールを選ぶと、3年目以降の月額で補助分を使い切ります。

20名・80名・200名の会社で、費用がどう変わるか

ここまでの相場と読み方を、よくある3つの会社像に当てはめます。いずれも想定ケースで、特定の企業ではありません。

ケースA 従業員30名の卸売業(利用者6名)

会計はクラウド会計、受発注はExcel。困っているのは請求書の転記ミスと月末の在庫確認。

見立て:ERPは要らない可能性が高い。利用者6名なら、クラウドの販売管理SaaSを会計と連携させる構成が5年総額で最も安い(〜50名の5年総額150万〜1,000万円の下の方に収まる)。見積書で見るのは「会計との連携が込みか」「帳票が既存様式で出せるか」の2点でよい。

ケースB 従業員80名の製造業(利用者40名)

受注はSFA、原価はExcel、会計は会計ソフト。営業・原価・会計の3部門を統合したい。取引先指定の帳票が12枚ある。

見立て:クラウドERPと固定費型の逆転点の近くにいる。利用者40名は、図3で1ユーザー月額1万円なら固定費型と総額が並ぶ人数。クラウド1社と固定費型1社を「帳票12枚」「原価Excelの移行は過去3年分」「SFAはAPI連携込み」で範囲を揃えて比べる。独自の原価計算を乗せる前提なら、固定費型が下回りやすい。

ケースC 従業員200名・拠点3つの建設業(利用者90名)

15年前の基幹システムを刷新したい。担当者は退職済みで、データの構造を知る人がいない。

見立て:費用の主戦場はデータ移行。見積りは移行の範囲で2倍ブレる。「移行は別途」の見積りを安いと読んではいけない。移行のリハーサル回数、旧システムからのデータ取り出し費用、並行稼働3ヶ月分の旧システム利用料を予算に入れる。50〜300名の5年総額1,500万〜8,000万円(MCB FinTechカタログ、クラウド型・オンプレミス型の幅)の中で、移行の深さが上下を分ける。

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統合したい業務と、いちばん手間のかかっている作業を教えてください。ERP化すべきか、SaaSで足りるかもこの場でお伝えします。しつこい営業はしません。

よくある質問

ERP導入費用の相場はいくらですか?

公開されている目安では、クラウド型が1ユーザー当たり月額5,000〜2万円、パッケージ型の部分刷新が300万〜1,500万円、複数領域の統合が1,500万〜4,000万円、スクラッチ開発が800万〜数千万円以上です。従業員50〜300名のクラウド型では5年総額1,600万〜8,000万円が目安とされています。

クラウドERPは本当に安いのですか?

初期費用は確実に安く、利用者が少ない会社では5年総額でも最も安く済むことが多いです。ただし月額はユーザー数に比例して伸びるため、1ユーザー月額1万円なら30名台、5,000円なら60名台で、初期1,500万円の固定費型と総額が並びます(本文の試算例)。

見積書で最初に見るべき行はどこですか?

「別途」「要相談」「貴社作業」と書かれた項目です。そのまま追加費用の候補になります。次に、要件定義・データ移行・既存SaaS連携・保守の4つが金額として入っているかを確認してください。

2社の見積りが2倍違います。安い方に頼めばいいですか?

先に範囲を揃えてください。安い方は、データ移行や連携を「別途」にしていたり、カスタマイズを見込んでいなかったりすることが多く、総額は高い方に寄ります。同じ範囲(業務・部門・人数と、含まれない項目)を両社に伝えて出し直してもらうと、差は数割まで縮まります。

補助金でERPの費用は下がりますか?

デジタル化・AI導入補助金2026(旧IT導入補助金)の通常枠は、登録されたITツールの購入費やクラウド利用料(最大2年分)などが対象で、補助率は原則1/2以内、補助額は最大450万円です。登録ツール以外と交付決定前の契約は対象外で、採択の保証もありません。

保守費はどれくらい見ておけばいいですか?

オンプレミス型・パッケージ型では初期費用の年15〜20%(日本ソフトウエア)、スクラッチ開発では初期開発費の年5〜20%(ripla)が公開されている目安です。「軽微な修正」や法改正対応を含むかで実額は変わります。

まとめ

冒頭の「3社の見積が500万円から1,800万円までバラバラだった」に戻ります。ERPの見積書の総額が変わるのは、「別途」の行と、仕様変更の扱いの2か所です。この2か所が違う見積書を合計だけで並べても、比べたことになりません。

ERPの見積書は、合計金額ではなく「別途」「要相談」の行から読む3社の金額が開くのは、どこかが高いのではなく、データ移行・連携・帳票を「別途」にしている会社と含めている会社が混ざっているから。別途の行を全部書き出してから合計を見る
仕様変更の扱いが書かれていない見積書は、総額がまだ決まっていない途中で出た要望が無償か有償か、有償ならいくらかを文章で確認する。ここが空欄だと、あとから「仕様変更の追加費用」で総額が変わる
ERPの費用は7つの項目でできていて、入れ方で月5,000円から数千万円まで開く1業務だけクラウドなら1人あたり月5,000〜2万円。複数の業務をパッケージで統合すると1,500万〜4,000万円が公開されている目安
比べるのは初期費用ではなく、5年の総額クラウドの月額は使う人数に比例して伸び、30〜60名台で固定費型と逆転する(この記事の試算例)
補助金は登録ツールが対象で、クラウド利用料は最大2年分ERPを入れるかどうかを、補助金に合わせて決めない

見積書が届いたら、合計の前に「別途」の行と仕様変更の扱いを見てください。それだけで、3社の見積は同じ土俵に乗ります。

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株式会社Emposy 編集部

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